なぜHANAは圧倒的な人気を継続できるのか。ちゃんみなと「ノノガ」の物語はまだはじまったばかり(徳力基彦) - エキスパート - Yahoo!ニュース
(出典:NO LABEL MUSIC 公式Instagram)

昨年4月にデビューをはたした7人組のガールズグループHANAですが、デビューから1年ほどで本当に様々な記録を更新しつづけています。

なにしろHANAはデビュー1年目で紅白歌合戦にも出場を果たし、日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞。オリコン年間ランキングの新人ランキングで9年ぶりに女性グループとしての1位を獲得するなど、記録づくしの一年でしたから、2025年を代表するグループの一つであったことは間違いありません。

その結果、昨日発表されたMUSIC AWARDS JAPANのノミネート発表においても、最優秀ニュー・アーティスト賞だけでなく、最優秀アーティスト賞にもノミネート。

さらに代表曲の一つである「Blue Jeans」が最優秀楽曲賞にもノミネートされ、主要6部門のうち3部門にノミネートされるという快挙を成し遂げているのです。

(出典:MUSIC AWARDS JAPAN)
(出典:MUSIC AWARDS JAPAN)

デビューから1年ちょっとのグループが、日本を代表するアーティストと並んで、MUSIC AWARDS JAPANの主要6部門のうち3部門にノミネートされているわけで、文字通り規格外の快挙と言えるでしょう。

 

ストリーミング再生数の記録更新を連発

HANAの圧倒的な人気ぶりは様々な数値にも表れています。

象徴的なのは、ストリーミングにおける再生数の多さでしょう。

例えばHANAのデビュー曲である「ROSE」は今年の2月にランキング初登場から45週で累積再生数3億回を突破。それまでの女性グループ最速記録だったNewJeans「Ditto」の113週という記録を大幅に更新。

さらに今回MUSIC AWARDS JAPANの最優秀楽曲にノミネートされた「Blue Jeans」も、4月に39週での累積再生数3億回を突破して歴代最速記録を更新する結果になりました。

また直近では、昨年12月にリリースした「NON STOP」がストリーミングの累計再生数1億回を突破し、1億回突破曲数が8曲となったことで、国内ダンス&ボーカルグループで最多記録を更新する結果となっているのです。

参考:HANA「NON STOP」ストリーミング累計再生数1億回突破 1億回突破曲数が国内ダンス&ボーカルグループ単独1位に

従来の国内のダンス&ボーカルグループがCD販売などに注力をする傾向が強く、ストリーミングが最重要ではなかった面はあるとはいえ、デビューから1年ちょっとのグループが、国内ダンス&ボーカルグループの歴代1位の最多記録を更新してしまったわけですから、とてつもない快挙と言えるでしょう。

 

「新たな価値観」を象徴する存在に

ここで注目したいのは、なぜHANAはこういった規格外の大ヒットを継続して成し遂げることができているのかという点です。

当然、一番分かりやすいのはHANAが「No No Girls」というオーディション番組から生まれたグループであり、番組を通じてデビュー前から多くのファンを集めることができていた点です。

これまでに日本でも様々なグループがオーディション番組から生まれて人気を博しており、HANAにもこうした「オーディション番組効果」があったことは間違いありません。

ただ、通常はこの「オーディション番組効果」は1年ぐらいで一旦落ち着くことが多いのに対して、HANAはその勢いがあまり落ちていないように見えるのが大きな違いと言えます。

その大きな違いの根底にあるのが、HANAを生んだちゃんみなさんと「No No Girls」が、文字通り音楽業界の古い価値観を変え、「新たな価値観」を象徴する存在になったという点です。

この「新たな価値観」というフレーズはMUSIC AWARDS JAPAN 2026の発表イベントで、音楽ジャーナリストの柴さんが提示していたキーワードです。

参考:HANAは“新たな価値観”の象徴 『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』での注目アーティストに

従来の日本の音楽業界においては、ガールズグループと言えば一般的には可愛らしい女の子が集まるアイドルグループが中心で、歌唱力やダンスの能力だけでなくルックスや容姿も重視される傾向にあったことは間違いありません。

その日本の音楽業界の中で「No No Girls」とちゃんみなさんは、「声と人生」しか評価しないと、明確にルッキズムを否定した評価軸を提示。

これまで「No」と言われ続けた候補生に対して、「新たな価値観」の評価軸でのチャンスを提示したことで、多くのファンが「新たな価値観」を体現する「No No Girls」やHANAに共感し、その「新たな価値観」での成功を自分事として感じながら応援しつづけていることが、この長く続くファンの熱量を生んでいると考えられるわけです。

 

「No」と言われ続けている人に勇気を与える存在に

当然「No No Girls」自体も、オーディション番組という構造上、途中で「No」と言われる落選者が出る構造ではあるのですが、ちゃんみなさんは徹底して候補者に対して「No」を言わない姿勢を堅持。

本気で自分の力を信じて夢を追い続ければ必ず「No」を「Yes」に転換できるというメッセージを、オーディション番組を通じて発信しつづけます。

また、最終的に合格者を決めるいわゆる「ノノガ ファイナル」においても、3次審査に進んだ候補者30人全員をステージに上げてパフォーマンスを行い、合格者も落選者も全員が「No No Girls」における主役であったことを明確に表現されていました。

参考:「声と人生」を評価し続けた「No No Girls」は、オーディション番組の常識を変える

「No No Girls」に参加した候補者全員が、これから世の中の「No」と言われ続けている人達に勇気を与える存在になる、というメッセージを多くの人達が受け取ったはずですし、合格したHANAの7人こそが、その代表としての責任を一番感じているはずです。

そうしたHANAの7人の姿勢は、今もさまざまなライブでのMCやファンへのメッセージから感じることができます。

 

「誰の夢も終わってない」

また「No No Girls」のファイナルのパフォーマンスの中でも、ちゃんみなさんは「誰の夢も終わってない」と宣言していましたが、その言葉を裏付けるように、実はオーディション番組が終了した後も「No No Girls」の物語は着実に続いています。

象徴的なのは、昨年5月にファイナリスト10名が「SAD SONG」を歌唱したTHE FIRST TAKEでしょう。

このパフォーマンスで、ちゃんみなさんが最後に「No No Girls Forever」と宣言しているように、「No No Girls」はオーディション番組としては昨年1月に終わっていても、その物語は続いているのです。

実際に、「No No Girls」のファイナルで落選した一人であるふみのさんは、「No No Girls」のファイナルから丁度1周年のタイミングである1月11日にデビュー。

当日は日本テレビの情報番組「シューイチ」に出演し、HANAのメンバー3人の前でデビュー曲「favorite song」を初披露するなど、「No No Girls」で生まれた絆の強さが表現されていたのが非常に印象的でした。

参考:惜しくもHANAになれなかったふみの、1年後に生放送でHANAと共演 ソロ歌唱に視聴者感動「胸がいっぱい」

また、「No No Girls」の5次審査で涙をのんだMOMOさんは、10人組ガールズグループ「CIRRA」のメンバーとして今年デビュー。
3月に開催された「D.U.N.K. Showcase」において、HANAと同日に出演しコラボダンスも披露、終演後のトークにも並んで出演されています。

参考:〈D.U.N.K. -DANCE UNIVERSE NEVER KILLED-〉国際色豊かに盛り上がったショーケースライブDay1

ちゃんみなさんが「誰の夢も終わっていない」と宣言したことを裏付けるように、「No No Girls」という番組から生み出されたアーティストはHANAだけではないという「事実」が、オーディションから年月を経るにつれて拡がりを見せているわけです。

  

今もなお再生数を増やしつづける「No No Girls」

また実はオーディション番組「No No Girls」自体も、ある意味では今も着実に拡がりを見せています。

象徴的なのは、「No No Girls」の番組の再生数が今も増え続けていることです。

例えば、ファイナリスト10名の最終審査でのパフォーマンスを収録したエピソード#15の再生数は、HANAがプレデビューを飾った2025年1月31日時点で513万回でした。

それが現時点ではすでに2456万回と5倍近い数値に増えているのです。

当然同じファンが複数回視聴しているケースもあるでしょうが、HANAや「No No Girls」のパフォーマンスやエピソードに何らかの形で触れ、後追いでオーディション番組を視聴している人が今も増え続けていることを示していると考えられるわけです。

そうした人達にとっては「No No Girls」は、決して過去の終わったオーディション番組ではなく、現在のHANAや候補者の現在に続く物語の序章です。

だからこそ、HANAとそのファンの熱量は今も陰ることなく拡がりを見せ、日本のガールズグループや音楽業界の記録を更新しつづけることができていると言えるかもしれません。

そう考えると、日本の音楽業界に「新たな価値観」を提示した、ちゃんみなさんとHANA、そして「No No Girls」の物語はまだ1年しか経っておらず、はじまったばかりだとも言えます。

これから、彼女たちがどのような新しい未来を見せてくれるのか、引き続き楽しみにしたいと思います。