サーティワン、ロゴ全面刷新へ 「日常利用」拡大で全世代ブランドに(渡辺広明) - エキスパート - Yahoo!ニュース
サーティワンアイスクリーム渋谷店 2021年8月15日 筆者撮影

B-Rサーティワンアイスクリームは、202641日からブランドロゴを全面刷新する。今回の変更は単なるデザイン変更ではなく、2021年に本格始動したブランドリニューアルの総仕上げと位置づけられる。

これまでの「家族・女性中心」のイメージから、「世代を問わない幅広い客層」への転換を象徴する動きだ。

■新ロゴは“シンプル×グローバル”

新ロゴは、ピンクとブルーの境界をなくしたグラデーションを採用。BASKIN ROBBINSの頭文字「B」「R」の間に「31」を配置する従来構成を維持しながら、よりシンプルで現代的なデザインへと進化した。

これにより、「誕生日や家族イベントの店」という従来イメージから、

  • 日常のご褒美
  • 友人同士
  • カップル利用
  • SNS投稿

といった利用シーンの拡張を狙う。

従来から強みとしてきた女性客の支持を維持しながら、顧客層の裾野を広げ、大人層や男性、Z世代、訪日外国人など新たな顧客層の取り込みを図る戦略とみられる。

■ロゴ刷新は「戦略の可視化」

外食・小売チェーンにとってロゴ変更は、単なる見た目の刷新ではない。事業戦略やターゲットの変化を視覚的に伝える重要な手段だ。

サーティワンは、世界1400種類以上のフレーバーという強みを「31」で直感的に表現。「選ぶ楽しさ」という独自価値を改めて打ち出した。

また、シンプルなデザインはデジタル時代への対応でもある。スマートフォンやアプリ上での視認性を高め、SNSでの拡散も意識した設計となっている。

公式アプリ「31Club」は会員数1090万人(2025年時点)を突破し、売上の43%を占めるまでに成長。デジタルを軸とした顧客接点の強化が進んでいる。

店舗についても、「LOUNGE」「STUDIO」という新コンセプトを導入し、体験価値の向上を図っている。

他社に学ぶロゴ変更の「成功と失敗」

ロゴ刷新の成否は他社事例からも明らかだ。

ユニクロは、赤地に白文字のカタカナロゴを前面に押し出し、日本発ブランドとしての独自性を強化。「シンプルで高品質」という価値を視覚的に伝え、グローバルブランドへと飛躍した。

スターバックスは2011年、ロゴから「COFFEE」の文字を削除し、人魚のシンボルのみへ簡略化。コーヒーにとどまらないライフスタイルブランドへの進化を示し、売上拡大につなげた。

一方で失敗例もある。GAP2010年に新ロゴを発表したが、従来のブランドイメージとの乖離が批判を招き、数日で撤回に追い込まれた。

アメリカのレストランチェーンのCracker Barrel2025年のロゴ簡素化で「温かみが失われた」と反発を受け、短期間で修正を余儀なくされたというケースもある。

ロゴ変更は、「戦略との整合」と「顧客の愛着」の両立が不可欠であることを示している。

■なぜ今「客層拡大」なのか

今回の刷新の背景には、顧客層の再定義という狙いがある。

新ロゴで「31」を強調することで、初来店客や外国人にも「種類が多い店」であることを直感的に伝える。シンプルでグローバル感のあるデザインは、Z世代やインバウンド需要への対応にもつながる。

最大のポイントは「日常利用へのシフト」だ。誕生日中心の利用から日常使いへと広げることで、来店頻度の向上を狙う。

さらに、高齢層にも見やすい設計とすることで、日本の人口構造にも対応した「全世代型ブランド」への転換を図る。

特にインバウンド取り込みでは、日本限定商品の存在が大きな強みとなる。北海道産あずきを使った「大納言あずき」や抹茶を基調とした和フレーバーなどは、海外では味わえない「日本らしい優しい甘さと食感」が訪日外国人から高い支持を集めている。こうした独自フレーバーはSNS映えも良く、「日本旅行の思い出」としてシェアされやすい。新ロゴのグローバルな印象がブランド認知を高めることで、これまで以上にインバウンド客の来店を後押しする効果が期待される。

■日本で築いた50年のブランド

サーティワンは1973年に不二家と米バスキン・ロビンス社の合弁で設立され、1974年に東京・目黒に1号店を開業した。

1970年代後半にはチョコレートミントがヒットし、日本に「チョコミント文化」を定着させた存在として知られる。

現在は全国1066店舗(2025年末時点)を展開し、「ポッピングシャワー」や「大納言あずき」など、多彩なフレーバーが支持を集めている。

■好業績の中での“攻めの刷新”

今回のロゴ刷新は、業績好調を背景にした「攻めの施策」でもある。

202512月期の連結決算では、

  • 売上高:3428500万円(前期比11.7%増)
  • 営業利益:276800万円(同17.1%増)
  • 当期純利益:177000万円(同14.7%増)

と、いずれも過去最高を更新した。

さらに、アプリ会員の売上構成比は43%に達し、デジタル戦略が成長を後押し。フランチャイズを含む国内総小売売上高も679億円と4年連続で過去最高を記録した(同社発表ベース)。

■「進化」を続けるブランドへ

今回のロゴ刷新は、「ブランドは進化し続ける」というメッセージでもある。

既存顧客を維持しながら、新たな顧客層を取り込む――。サーティワンの取り組みは、外食・小売業界におけるリブランディングの典型例といえそうだ。

20264月以降、この施策がどこまで業績を押し上げるのか。その動向に注目が集まる。