南日本放送
■失敗したH3ロケット8号機 製造段階で部品が高温多湿の状態に 去年、打ち上げに失敗したH3ロケット8号機についてです。JAXA=宇宙航空研究開発機構は、製造段階で部品が高温多湿の環境に置かれたことが機体の不具合に影響していたとの考えを明らかにしました。 【写真を見る】H3ロケット失敗原因は「日本の夏」?接着剤の吸湿で強度低下との見方 JAXAが報告 H3ロケット8号機は、去年12月、搭載した日本版GPS衛星「みちびき5号機」を予定の軌道に投入できず、打ち上げは失敗しました。 これまでの調査では衛星を載せる台座の接着部分に一部、剥離が生じていたことが分かっています。 ■「夏季休暇期間に空調が切られていた」 文部科学省などが開いたきょうの会議でJAXAは、トラブルのあった衛星の台座部分について「夏季休暇期間に台座を保管する建物の空調が切られ高温多湿の環境下で保管されていた」と説明しました。 部品の接着作業について、これまでのH3機体の多くは1月から4月に行われていましたが、8号機は高温多湿の8月〜9月に行われてました。 ■湿度が高い状態で作業 1立方メートルあたりの絶対湿度が多かった JAXAの製造記録によると、作業をした日の1㎥の空間に含まれる水蒸気の重さ(絶対湿度)は、これまでは2〜10グラム程度の日が多かったのに対し、8号機の作業を行った9月20日は15〜24グラム程度と多かったということです。 おととし打ち上げが成功した2号機も、作業は同じ9月に行われ、当時の絶対湿度は最大20グラムに達していたとみられていますが、搭載していた衛星が2号機が2.6トンだったのに対し、8号機は4.8トンでした。2号機に搭載していた衛星が軽かったため、支障が出なかったとみられています。 JAXAが試験を行った結果、空気中の水分を吸収することで接着部分の強度がおよそ25%低下することが確認されました。 ■2度の加温で接着が弱まる ロケット内で衛星を載せる台座部分の製造では複数の部品を接合するために、すでに接着された部品の「乾燥」と「2度目の接着」の2回にわたって温度を上げる工程があります。 今回、検証のため再試験をしたところ、1度目の「乾燥」で、部品の一部が想定以上の温度に上昇し、すでに接着されていた部品の剥離が確認されました。 乾燥させる工程での加温と、エアコンを切っていたときなどの吸湿が台座の部品内の接着を打ち上げ前から壊してしまっていたことになります。 打ち上げでは、衛星のカバーを切り離した衝撃で剥離が大きくなり、台座部分が壊れてしまった可能性が考えられるということです。
H2Aロケットでは、今回破損していた台座内の部品の固定には、金具が使われていました。 しかし、H3ロケットでは、低コスト化のため接着に変えていたということで、今後はコストも検討しながら接着から金具に戻すことも視野に検討しているということです。 JAXAは今後、すでに製造が完了している機体などについても接着方法を変更するなどの対策をとり、一日も早い打ち上げ再開に向けて原因究明を進めるとしています。
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