「地獄に堕ちるわよ」好調も「闇が控えめ」賛否が出始める。実在の人生をたどる作品の難しさ、ポイントは? #エキスパートトピ(斉藤博昭) - エキスパート - Yahoo!ニュース
「地獄に堕ちるわよ」Netflixにて独占配信中

4/27にNetflixで配信スタートした「地獄に堕ちるわよ」は予想どおり、各方面で大きな話題になっている。Netflixの実録モノは“お家芸”となった感もあり、細木数子の人生と素顔が、脚色とはいえ彼女を知らない世代、さらに日本国外にも衝撃を拡大中。

ただ配信から3週間経ち、その描き方に否定的なレビューも出始めた。細木に詳しい人からは、もっとドス黒い部分に切り込んで欲しかった、という不満も聞かれる。日本ではこれから公開のマイケル・ジャクソン映画もそうだが、実在人物の作品では、こうした点が常に取り沙汰される。

ココがポイント

多くの人が求めていたのは一代記ではなく、どちらかといえば、『地面師たち』のような実録犯罪ものだったのではないか出典:映画チャンネル 2026/5/14(木)

最初の7話くらいまでは、NHK朝ドラとたいして変わらないような、不完全な再現ドラマにすぎない出典:リアルサウンド 2026/5/14(木)

この展開そのものに大きな驚きがないからです。彼女が本当のことを語らない人物であることは、むしろ最初から示唆されています出典:東洋経済オンライン 2026/5/13(水)

マイケルの娘であるパリスは、この作品が「父のファンのうち、いまだ幻想の世界に生きているごく一部の人々に迎合している」と出典:WIRED.jp 2026/5/7(木)

エキスパートの補足・見解

「ダークなNHK朝ドラ」という指摘も目立つ。地上波では難しい“闇”が漂い続けるのは、細木の人生を描くうえで必須。悪女モノとしても何度か劇的な展開が用意された。一方で多くの人がよく知る、占い師になった後の終盤は思いのほか短く、実際の闇が控えられた印象。とはいえ、細木を知らない海外の視聴者を考えれば、このまとめ方も納得できる。

何かと比較される「地面師たち」が事件そのものにフォーカスできた反面、「人物」を描く実録モノでは、当然ながら、本人や遺族の了承・協力が欠かせず、「描いてほしくない」部分は抑えられがち。細木数子の場合、占い師を受け継ぐ養女の存在もある。

6/12公開『Michael/マイケル』も、マイケル・ジャクソン財団の意向で負の部分が抑制され、映画への協力を拒んだ家族のドラマがカットされるなどして、深く踏み込んでいない批判も出た。同作は続編で、その部分が描かれるか注目されている。

こぼように実録モノは主人公の人生が“美化”されやすく、その部分を観たい人が多いなか、「地獄に堕ちるわよ」は、できる限り“闇”に迫る姿勢も評価できる(「マイケル」も一部は同様)。だからこそ「もっと深く」という欲求も噴出するのだろう。