JR東海が計画するリニア中央新幹線の未着工区間である静岡工区(8.9キロ)をめぐり、静岡県の専門部会は26日、県が着工容認の「前提条件」とする、水資源や自然環境など28項目に関するJR東海の対策案を了承した。着工に向けた科学的な課題は解消され、前知事時代から約10年続いた議論は節目を迎え、年内着工の公算が大きくなった。 【イラスト】リニア中央新幹線、今どうなっている?開業は? 知りたい五つの要点 この日の専門部会では、全28項目のうち、残る南アルプスでの生態系保存に関する8項目を議論し、いずれも了承された。 部会後、平木省副知事は報道陣に対して「専門部会での議論はおおよそ10年かかったわけで、非常に感慨深い」としたうえで、「有識者会議で議論してきたことをしっかりと実行していただくことが一番大事」と話した。 着工の容認は知事の判断としたうえで、「諸条件がクリアされるのであれば、年内(着工)ということもあり得るんじゃないかと思う」と話した。 ■年内に着工でも 開業は早くて2036年以降 JR東海は今後具体的な計画を策定し、地元の市町から合意を得ながら、河川法や条例に基づく手続きを並行して進める。次の焦点は「推進」の立場で、議論を進める姿勢を示してきた鈴木康友知事がいつ着工の容認を表明するかに移る。 山間部を通る静岡工区は最難関工区とされ、完成までに約10年かかると見込まれる。仮に年内に工事が始まった場合でも開業は早くても2036年以降になる見通しだ。 リニア中央新幹線をめぐっては、品川―名古屋間(286キロ)で2014年から工事が始まり、当初は2027年に開業する計画だった。しかし、静岡工区を含む南アルプストンネル(全長25キロ)の掘削による大井川の流量減少や、南アルプスの生態系への悪影響が懸念されるとして、当時の川勝平太知事は県内での工事を認めてこなかった。 最大の懸案の大井川の水資源をめぐっては、地元とJR東海との間で10年ほど議論が続いてきた。県は有識者による専門部会を設置し、2024年2月には水資源や環境保全に関して28の項目を示し、JR東海に具体的な対策を求めたが、着工が見通せない状況が続いた。 しかし、前知事が失言で辞任し、2024年5月に鈴木知事が就任した後は、JR東海との対立から対話を重視する路線へと転換された。今年1月には、トンネル工事で水資源に影響が出た場合の補償についてJR東海と県が合意して、確認書を締結し、水問題にめどがついた。(長橋亮文、増山祐史)
朝日新聞社
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