【ニューヨーク=木瀬武】米メディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を巡る買収合戦の行方が不透明感を増している。WBDは米動画配信大手ネットフリックスの買収提案を支持しているが、敵対的買収を仕掛けるパラマウント・スカイダンスは政治も巻き込んで逆転を狙っている。
TOB反対
WBDのサミュエル・ディピアザ会長は7日の米CNBCのインタビューで「ネットフリックスの買収提案の方が依然として優れており、買収成立への明確な道筋を示している」と強調した。WBDの取締役会はこの日、パラマウントの株式公開買い付け(TOB)に改めて反対を表明した。
パラマウントはWBDを総額1084億ドル(約17・1兆円、負債含む)で買収する方針で、買収額でネットフリックス(約13・1兆円、同)を上回る。WBDが懸念する資金調達のメドもつけて提案を出し直した。それでも形勢は逆転せず、デビッド・エリソン最高経営責任者(CEO)は8日の声明で「我々の提案の方が大きな価値と、確実で迅速な道筋を提供できる」と対抗心をあらわにした。
重なる事業領域
ネットフリックスは、動画配信事業で3億人超の会員を抱える。WBDの「ハリーポッター」や「バットマン」などの有力なIP(知的財産)を取り込むことで、収益や顧客の拡大につなげやすいとされる。
これに対し、パラマウントはWBDと同業で、事業領域が重なる。米バージニア大学のアンソニー・パロンバ助教は「パラマウントの買収は守りの側面が強く、規模拡大で生き残るための策に見える。WBDにとってあまり魅力的ではない」と話す。
ただ、ネットフリックスがWBDを買収すれば、動画配信の市場での支配力が一段と強まるため、当局による買収審査が課題になるとみられている。司法省や連邦取引委員会(FTC)が待ったをかける可能性も指摘されている。
問題視
パラマウントのメイカン・デルラヒム最高法務責任者(CLO)は7日、ネットフリックスによる買収が競争法上、問題だとする書面を米連邦議会に提出した。デルラヒム氏は第1次トランプ政権で司法次官補(独占禁止局担当)を務め、政権に近いとされる。
パラマウントのエリソンCEOの父親は米IT大手オラクル創業者のラリー氏で、トランプ大統領と親交がある。米メディアは、ラリー氏が買収劇を巡り、トランプ氏に直接働きかけていると伝えている。裁定にはトランプ氏も関わる意向を示しており、元FTC委員長でジョージ・ワシントン大のウィリアム・コバシック教授は「トランプ氏には伝統的な独禁法は意味をなさず、相手からどんな条件を引き出せるかで判断する可能性もある」と語る。
Hao112 ニュース