高機能・高価格の手持ちタイプ小型扇風機「ハンディーファン」の発売が相次いでいる。若い女性を中心に普及し、2000~3000円程度が売れ筋だったが、家電大手各社が今夏、1万~2万円程度の製品を投入する。夏場の暑さが厳しさを増す中、購買力のある中高年ら幅広い年代層の需要が見込めるようになったことが背景にある。(坂下結子) 【図解】各メーカーの「高価格・高機能なハンディーファン」
世界首位の中国企業が日本参入「風量を100段階で」
シャープは、自社初のハンディーファン「プラズマクラスターオウルフローハンディファン」(市場想定価格税込み9900円)を28日に発売する。消臭・除菌効果がある独自技術「プラズマクラスター」を搭載し、衣服についた汗のにおいを抑えられるという。
内蔵するリチウムイオン電池の周囲を難燃性の素材で覆い、リチウム電池事故への不安が増していることに対応する。商品企画を担当する花房浩章氏は「自社の厳しい品質基準で開発している」と力を込める。
ダイソンも今月、「ダイソン ハッシュジェット ミニクール ファン」(同1万7600円)を発売し、市場に参入した。約200グラムとスマートフォンほどの軽さで、最大秒速25メートルの風量を出す。羽根のない設計で、使用中に指を巻き込んでしまうなどの事故を防ぐという。
小型扇風機の世界販売額で首位の中国新興メーカー「ジスライフ」も、今春、日本市場に参入した。風量を100段階で調整できる新製品(税込み8580円)は、人工皮革を施した高級感あるデザインで、最大30時間駆動する。
幅広い年代が購入・「暑さ対策」意識の高まり
新規参入が相次ぐのは、市場の拡大が見込まれるためだ。
大阪市中央区の家電量販店「エディオンなんば本店」は、2025年のハンディーファンの売上高は前年の1・4倍になった。通常、夏にかけて売り上げが伸び、ピークは7月だが、今年は出足が早く、3月の売り上げは前年比2倍だった。担当者は「これまでは、若い世代を中心に普及していたが、近年は通勤・通学用として幅広い年代が購入している」と話す。
気象庁によると、昨年6~8月の平均気温は、過去最高だった。今年も5月の時点で猛暑日を観測している地域があるほか、最高気温40度以上の「酷暑日」が新設され、暑さ対策への意識は高まりそうだ。
米調査会社マーケットグラスの24年の試算では、持ち運び型扇風機の国内市場は23年から30年にかけて毎年1・2%程度成長する。
これまでの売れ筋は、雑貨メーカーなどが販売する2000~3000円の商品だった。高価格品は受け入れられるのか。家電ライターの田中真紀子さんは「『扇風機の小型版』から、おしゃれなガジェット(電子小物)感覚で持ち歩けるものへと進化したことで市場が拡大した。日傘と同じように中高年男性も利用するようになっており、高額品の需要も見込める」と指摘する。
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