国土交通省航空局(JCAB)は6月12日、日本航空(JAL/JL、9201)に対し、5月に起きた客室乗務員の飲酒問題で行政指導の「厳重注意」を行い、7月17日までに再発防止策を報告するよう指示した。規定違反の隠ぺいを認定し、安全管理システムが十分に機能していなかったと指摘。JALは役員処分として、鳥取三津子社長ら全役員の報酬減額を決めた。先任客室乗務員(チーフキャビンアテンダント)だった50代女性社員Aを懲戒解雇、一緒に飲酒していた客室乗務員の30代女性社員Bを停職処分とした。いずれも社内規定に沿った処分となる。 【画像】JALが実施しているCAのアルコール検査 ◆同僚CAが再三指摘 今回の飲酒問題は、5月23日の広島発羽田行きJL252便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA613J)に乗務予定だった客室乗務員2人が、乗務前日に同社の運航規程で定める飲酒規定に違反して飲酒したもの。うち1人の50代女性の先任客室乗務員(チーフキャビンアテンダント)から社内検査の「事前検査」でアルコールが検知され、乗務を取りやめた。乗務員交代に時間がかかり、JL252便は42分遅延した。 一方、アルコールが検知されたのは航空法で定められた「本検査」前の社内検査だったため、航空法違反にはあたらない。 国交省によると、先任客室乗務員は時間経過によるアルコール濃度の低下を期待し、宿泊先出発前に実施すべき事前検査を空港に出社するまで遅らせた。また、客室乗務員2人はJALの聞き取りに対し虚偽の報告を行った。国交省は、乗務前日の飲酒について規定違反の事実を隠ぺいしようとしたと認められるとした。JALは12日、もう1人の30代女性の客室乗務員も、出社前検査で呼気1リットルあたり0.09ミリグラムを検知し、その後、体調が乗務に適さない旨を会社側に連絡したことを明らかにした。 また、飲酒の場に参加していない同乗する客室乗務員から、先任客室乗務員に対して事前検査を実施するよう再三指摘があったにもかかわらず、組織として把握できず、乗務可否を速やかに判断できなかった。国交省は、JALの安全管理システムが十分に機能していたとは言えないと指摘した。 厳重注意文書では、JALで飲酒事案が繰り返し発生していることについても触れ、「社員一人一人に安全意識がいまだに徹底されていないと言わざるを得ない」と指摘した。国交省はJALに対し、事案の要因分析を行った上で、飲酒事案を根絶するための飲酒対策を含む安全確保に関する意識の再徹底や、アルコール検査体制の再構築を含めた安全管理システムの是正を図るよう求めた。 ◆鳥取社長ら全役員報酬減額 JALは12日、再発防止策として、厳格なアルコール検査モニター体制の構築や、外部専門家の知見も踏まえた日常的に飲酒しない社員への対策の浸透などを盛り込むと発表した。 役員処分は、鳥取三津子社長が月額報酬30%を2カ月減額する。安全統括管理者の中川由起夫・取締役常務執行役員と、客室本部長の中野淳子・執行役員は月額報酬20%を1カ月減額し、それ以外の全取締役と全執行役員は月額報酬10%を1カ月減額する。全取締役には社外取締役も含む。 JALは、度重なるアルコールに関する不適切事案を受けて再発防止策を進めていたにもかかわらず、今回の事案を発生させたことを極めて重く受け止めていると説明。利用者や関係者に多大な心配と迷惑をかけたとして謝罪した。
Tadayuki YOSHIKAWA
Hao112 ニュース