食品トレー20%超値上げで食品ロスはどう変わる?ナフサ不足が迫る転換点 #エキスパートトピ(井出留美) - エキスパート - Yahoo!ニュース
大手コンビニやスーパーなどで売れ残り、容器包装ごと処分される食品ロス(撮影:島田幸治、筆者がボカシ加工)

食品容器大手エフピコは、2026年6月から全製品約1万種類を20%以上値上げすると発表した。同じく6月から中央化学は30%以上、シーピー化成は25%以上の値上げと、業界全体で値上げが相次いでいる。中東情勢の緊迫化で原料ナフサの供給が不安定になったためだ。

食品トレーはコンビニやスーパーの総菜・精肉・弁当等に使われており、食料品全体に価格転嫁が波及する懸念がある。

今回の値上げは容器包装のコストを可視化し、過剰包装や発注の見直しを促す契機になり得る。食品ロスの観点から、今回の値上げが何をどう変えるか、考えたい。

ココがポイント

食品トレーの主な原料は、原油を精製して作られる「ナフサ」で、中東情勢の緊迫化を背景に価格の高騰や供給不安が続いています。出典:FNNプライムオンライン 2026/5/19(火)

佐藤守正会長は「原料調達のめどはひと月単位で延びていくのではないかと予想するが、現時点ではわからない」と説明した。出典:日本経済新聞 2026/4/30(木)

ナフサ由来製品の値上げで、4人家族の家計の年間負担額は2万2500~3万5100円増えると試算出典:時事ドットコム 2026/4/11(土)

それでも現在の使用済み食品トレーの回収率は約30%に留まり、この運動のさらなる広がりが必要です。出典:エフピコ

エキスパートの補足・見解

コンビニで売れ残った食品が容器ごと回収され、処分される現場を取材で目の当たりにしたことがある。食品トレーは「あって当たり前」で、トレーのコストも廃棄コストも見えにくい存在だった。

しかし、今回の値上げで容器包装のコストが一気に可視化された。容器代が跳ね上がれば、小売や外食は発注量の見直しを迫られる。過剰陳列が減れば売れ残りによる廃棄も減る。食品ロス削減にとってチャンスでもある。

家計の観点からも事態の深刻さがわかる。ナフサ由来製品の値上げで4人家族の年間負担は最大3万5100円増えると試算される。さらに食品ロスによる一人あたりの経済損失は年間約31,000円以上。これらを合わせて考えると家計へのダメージは相当な規模だ。食品ロスを減らすことは、値上げ分の家計負担を取り戻す手段でもある。

エフピコは、1990年からトレーを回収しリサイクルする取り組みを展開してきた。が、回収率は約30%にとどまる。原料不足が深刻な今こそスーパーの回収ボックスに使用済みトレーを入れる習慣を根づかせる好機だ。

ナフサ不足の事態を、食品との向き合い方を見直す機会にできるかどうか。問われるのは事業者だけでなく、消費者一人ひとりの姿勢でもある。