不適切な会計処理問題に揺れるニデックの創業者、永守重信氏(81)が名誉会長を辞任した。月内とされる第三者委員会の調査結果がまとまる直前の唐突な辞任劇となった。永守氏を含む経営陣の関与が疑われる中、辞任に際しても永守氏はコメントを出すのみで、公の場で説明することはなかった。(金井智彦) 【一覧表】一目でわかる…ニデックの「不適切な会計処理を巡る経緯」
経営混乱続く
ニデックによると、辞任は本人の意向という。永守氏はコメントで、「ニデックは永久に不滅」と強い思いをにじませつつ、「再生させるために何でもするとの強い覚悟から、名誉会長の職をも辞することとした」と強調した。
ニデックは昨年5月以降、不適切な会計処理が相次いで発覚した。しかし、第三者委による調査に踏み切ったのは同9月に入ってからで、現在も経営の混乱が続いている。
今年1月に公表した社内調査に基づく改善計画書では、短期的な利益の追求や永守氏の意向を優先する企業風土があったと指摘した。第三者委の調査でも、永守氏を含む経営幹部の関与や責任が大きな焦点となっている。
永守氏はニデックを世界的な企業に育てたカリスマ経営者として知られる。昨年末、代表取締役グローバルグループ代表を辞任し、「経営責任のない名誉職」(岸田光哉社長)である名誉会長に退いてもなお、影響力を警戒する声は根強い。
永守氏は一連の問題について、「慚愧(ざんき)の至り」と陳謝し、「いまこそ、まさに潮時。ニデックという私の物語は終わり、次世代が新しい物語を紡ぐ時代が始まる」と説明した。信頼回復を図る上で、完全に身を引くことが避けられないと判断したとみられる。
「逃げ」の印象
一方で、調査結果を待たずに辞任したことには疑問の声もある。永守氏は記者会見や株主総会で、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで積極的に発言してきたが、2度の辞任に際しては公の場で語っていない。ニデック関係者は「このタイミングでの辞任はかえって印象が悪くなる。『逃げ』と思われても仕方ない」と話す。
永守氏は昨年9月時点で、ニデック株を個人として8・61%、資産管理会社を通じて3・52%保有する事実上の筆頭株主だ。今後も影響力を維持する可能性は残る。
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